企業経営者にとって最大の関心ごとである人材の雇用、近年では人件費を削減する方法として、主に2つの方法が注目を浴びています。1つは機械化やAI・システムの導入による人員そのものの削減(省人化)。もう1つが外国人労働者の雇用です。これらは今、人材不足や経費削減の切り札として非常に注目されていますが、従業員のモチベーションやお客様の満足度を維持あるいは向上したいという観点から考えると、ぜひとも知っていて欲しい注意点がそれぞれございます。
1. AI化・機械化による人員削減における注意点
さまざまな分野でAIやITシステムの導入が進んでいます。2016年1月、野村総合研究所が「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」と題するレポートを発表したのは記憶に新しいところです。しかし、この報告は人件費削減の希望の光というより、雇用への脅威として捉えられ、3年半が経った今もその衝撃は消えていません。実際のところ、スーパーマーケットのセルフレジや回転寿司の電子注文システムをはじめ、一般の消費者の目に見える形でも機械化・コンピュータ化がどんどん進んでいますが、1つよく見落とされているポイントがございます。それは、従来のシステム導入では、オペレーションの効率化を重視するあまり、顧客からの反応を掬い上げるという機能が忘れられている場合が多いことです。
省人化システムにより現場の人員を削減すると、往々にして以前は従業員を通して伝わっていた顧客からのフィードバックの行き場が失われることになります。そこで、Happy or Notのような顧客の感想を掬い上げるシステムが必要になってきます。また、システムをオペレーションに使う従業員側でも、新システムの評価が一部のIT部門の社員のみに委ねられ、実際の状況が形成層まで届かない場合もあります。そういう場合にもHappy or Notによって新システムに対する従業員の評価を広く測定し、利便性や満足度が低ければその理由を見つけ出し、改善策についても現場の意見を効率的に聞くことができるのです。
2. 外国人労働者の雇用における注意点
外国人労働者の雇用が近年より活発になっており、現在では特にコンビニエンスストアや飲食店をはじめとした日本の小売業、サービス業では多くの現場において外国人労働者による接客応対を目にする機会も徐々に増えています。厚生労働省の発表では、2018年10月末時点の外国人労働者数は146万463人となり、企業の届け出が義務化された2007年以降で過去最高を記録しています。2008年からの10年間で約3倍に増えた外国人労働者は2019年4月に施行される「改正出入国管理法」(改正入管法)の影響で、今後さらに増加するとみられています。
その様な状況の中、外国人労働者の増加によって現場では従来見られなかった課題も具体的に出てきています。マニュアル作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz」(ティーチミー・ビズ)を提供する、株式会社スタディストが2019年1月に行った「外国人労働者の育成に関する課題調査」では、5年以内に外国人労働者の育成に携わった男女735人の8割以上が「外国人労働者の育成で苦労した」 と回答しています。苦労した理由の内訳は、回答者の51.8%が「コミュニケーションが取りづらかった」、46.7%が「口頭での指示が正しく伝わらなかった」と答え、互いの意思疎通が課題となっていることが分かりました。
言葉だけでなく文化や生活習慣の違う人と一緒に働くためには、お互いへの理解が必要不可欠です。そのためには互いの文化を理解しようと努めることや従来型のいわゆる常識や暗黙のルールの可視化、各自が「伝える努力」をすることが重要と言われています。出身国ごとに文化や宗教による考え方、習慣の違いについていくつか重要なポイントを理解するだけでも多くの発見が得られることでしょう。
Happy or Notでは外国人労働者が現場で活躍するのをサポートする為に、以下の2つのメリットを提供しています。
1つ目は、外国人労働者自身に対して日々質問をすることで、業務や社内の人間とのコミュニケーションがうまく行っているか、モチベーションが高い状態を維持できているかどうかを確かめることができる点です。労働環境に満足しているかどうかを定期的に審査することで離職を防ぎます。もし、悩みや不満が早期に発見できれば、上司やカウンセラーが相談の機会を設けて、いったい何が問題になっているのか聞き出し、適切な対処を取ることもできるかもしれません。
2つ目のメリットは、外国人を含む従業員が提供するサービスに対してお客様がどの様に感じているか、お客様目線での評価が得られる点です。より納得感が高い評価方式を取り入れることで、外国人労働者へのコミュニケーション教育などをスムーズに促すことができるようになります。
今後増加する外国人労働者と“共生”する未来には適切な受け入れ態勢、育成体制の構築が求められています。