従来型アンケートの問題点
「お客様の声」は今日では小売業、サービス業など業界を問わず重要な存在です。自社製品やサービスの開発における基礎であり、ブランディングやサービスの品質維持・向上にも欠かせません。
現在、企業が利用している代表的な手法は以下に集約されます。貴社でも以下のいずれかの形で調査を実施しているのではないでしょうか。
- アンケート用紙の設置
- インタビューやリサーチ(一斉アンケート)
- 座談会
- 覆面調査(ミステリーショッパー)
- オンラインアンケートフォーム
- SNSを使った投票
- お問い合わせフォーム
悲観される従来の計測手法
GreenBookというウェブサイトでは、世界中のマーケティングリサーチ会社の名簿や、その他リサーチに関する情報を提供しています。GRITレポート(GreenBook Research Industry Trend Report)は、GreenBookの読者を対象にアンケートを実施した結果をまとめたもので、市場調査の動向を知るための重要な手がかりとなります。
GRITレポート(2018 Q1-Q2)は、2018年第1四半期に3,930人の研究者を対象としたアンケート調査の結果です。
上記レポートにおいて、39%の研究者は「今後3年間でお客様からのフィードバックの質は悪化する」と回答していることが判明しました。「向上すると思う」という回答は19%に留まっています。言い換えれば、企業の顧客に対する洞察力は低下している、と懸念されているのです。アンケート調査の技術は進歩しているにもかかわらずです。
次のセクションでは、従来型のアンケートが抱える大きな課題を3つ挙げて、それぞれ詳しくご紹介いたします。
従来方式の問題点
アンケート疲れ
長期間調査を行っても、回答率はわずか
調査だけで満足する
「お客様の声」の76%が行動に繋がらない
タイムラグ
顧客を失って6〜8ヶ月後になって、
ようやく問題に気づく
アンケート疲れ
従来型アンケート方式における永久の課題は、有意義な結論を裏付けるために必要十分な人数からの回答を収集することです。
お客様の声をより具体的に聞こうとすると、質問数が多くなってしまい、回答者数がますます減ってしまいます。また、回答者の偏りも大きな問題です。長くて退屈なアンケート項目をじっくり時間をかけて回答する余裕のある人が、必ずしもお客様の声を代表できる人物とは限らないのです。調査に興味がある人もない人も含めた、偏りがないサンプル(回答者)に対してアンケートが行われなければ意味がありません。
一般的なアンケートの回答率は、1%未満と言われています。多くの企業が、この1%未満の声をベースに改善活動を行なっています。お客様の声を正しく認識したい場合は、より多くの、偏りのない対象者から聞く必要があります。
対面調査、訪問調査、会場調査、インタビューなどは、その場で狙った数のお客様から意見を回収できるので、一見偏りのない多くのお客様の意見を聞いているように見えます。しかし実際は実施期間が短く、1年のうちの数日というごく僅かなサンプルの利用者しか対象にしていないことが問題です。
調査だけで満足する
Temkin Groupによる2017年のレポート(State of Voice of Customer (VoC) Programs)によると、大企業の63%はお客様の声を集めることが得意だが、調査結果に基づいて行動をとるのが上手な企業は24%に留まっているそうです。
その原因は、そもそも適切な調査設計ができていないことにあると考えられます。お客様の声を集めることが目的となってしまい、一定数集まると満足してしまうケースが多く存在するようです。
調査において、「店員は挨拶をしましたか?」という質問があったとします。実は顧客にとっては挨拶はどうでもよくて、「適切に手続きを行ってくれたか」の方がより重要かもしれません。
単純に答えが知りたいだけの質問を設定してはいけません。「顧客が本当は何を求めていているのか」、「満足度をどのように検証するのか」、そして「どういう結果が出たらどんな行動を起こすべきか」など、アンケートを実施する前にあらかじめ仮説を立てておく必要があります。
タイムラグ
従来型のアンケートの一般的な流れは、以下の通りです。
- お客様が真実の瞬間(顧客が企業の価値判断をする瞬間、一般的にはサービスや商品とお客様との接点)を体験する
- お客様からの真実の瞬間に関する意見を回収する
- 一定数のお客様から回答を回収、集計し、レポートにまとめる
- CS担当者や経営者に到達する
この一連の流れが実施されるのに、早くても1週間、一般的には数週間から数ヶ月かかってしまっているのが事実です。不満を持つお客様は、全て上記の(1)の時点で企業に対して失望しており、その企業との関わりを即、取りやめる可能性があります。American Expressによる2017年の調査によると、日本人の56%が「一度でも悪いサービスを体験したら、企業を離れる」と回答しています。
お客様をがっかりさせた場合、本来であれば瞬時に改善行動を取らなければなりません。しかし、従来の方式ではそれができないというのが問題なのです。アンケートの結果を経営陣が見ている頃には、すでにそのお客様は自社を離れている可能性があります。
従来型のアンケートや解約率のみで顧客満足度を測定した場合、将来を変えるような改善行動をとるのが常に半年ほど遅れてしまいます。データは真実の瞬間から近い位置で取得し、できるだけリアルタイムで分析・閲覧すべきです。
従来型アンケートの問題点を補うHappyOrNot®
HappyOrNot®は、従来型のアンケートの問題点を補うために開発されました。お客様は、その時の気分や満足度に応じて4つのボタンから選ぶだけで回答できます。
お客様とのタッチポイント=真実の瞬間に近い場所に設置することで、従来のアンケートでは実現できなかった調査・改善行動が可能になります。
回答率の高さ
小売店で購入体験をした後に自然に通行する出口付近に端末を設置すると、平均で全体の35%ものお客様から回答を得ることができます。
意見を即座に反映
ボタンを押すだけなので、お客様のその時の正直な気持ちが正確に反映されます。全ての回答は匿名ですが、タイムスタンプがつきます。
端末の設置場所と合わせて回答を分析することで、問題がある場所と時間が特定できます。
おわりに
従来型のアンケートには問題があると述べてきましたが、それぞれのアンケートにはもちろんメリットもたくさんあります。記述式の回答なら、HappyOrNot®では得られないような深い意見が得られることもあるでしょう。あるいはオンラインフォームなら、自宅でリラックスした状態で回答することができ、より素直な回答が得られるかもしれません。
調査に用いるツールやテクノロジーは、調査の目的や自社のサービス形態などに応じて使い分けることが肝心です。HappyOrNot®が、より多くの企業の課題解決のお役に立てれば幸いです。