後編:ピークと終わりの体験を、いつ・どこで・どう測り、何を聞くか
前編では、ピーク・エンドの法則と、良い感情を引き起こすことが顧客満足と愛着につながる理由を扱いました。企業がピークと終わりの体験をどうつくっているか、いくつかの例も紹介しました。後編では、いつ・どこで・どう測り、何を聞くのかを整理します。顧客満足の改善につながる手応えのある材料を得るための話です。
いつ聞くか——タイミングを合わせる
ピーク・エンドの法則を活かすなら、知りたいのは体験の始まりと終わりに人が何を感じたかです。したがって、ピークと終わりになるべく近い時点で満足度を測ることを目指します。そのタイミングなら、顧客の感情をリアルタイムでとらえられるからです。何を感じたかだけでなく、どこで・いつ感じたのかまで特定できます。
分かりやすくデータに基づいた仕組みを手元に置いておくと、本当に大事なこと——顧客体験の改善——に集中できます。HappyOrNot の場合、導入企業では最初の12か月で不満を示す顧客が平均して約3割減っています。
どこで聞くか——場所を選ぶ
ネット通販では、体験の終わりに何を感じたかを聞きたいところですが、その「終わり」がどこかは顧客の行動によって変わります。多くの事業では購入完了ページを終わりとみなします。ただしそこで計測を打ち切ると、取引を完了した人の声だけしか届きません。決済ページだけに設問を置くのではなく、顧客の道のりのほかの重要な段階にも置いてください。そうしないと、買わなかった人からの重要なフィードバックを取りこぼします。
そして、顧客の道のりは購入後も続きます。サポートのチャットや配送通知メールについて満足度を測るのは、よい判断になりえます。購入後のフォローアップ調査も、レビュー投稿を依頼するタイミングで的を絞った声を集める有効な手段です。
対面の体験では、もっと話が単純です。終わりの体験での満足度を測ることが、おそらく最も重要になります。正面出口の近く、車寄せの受け取りエリア、商品の受け取りカウンター(受け取りロッカーの場合もあります)、そして自宅配送。家電、食品スーパー、近年広がっている薬局系小売など、多くの業態でこのあたりが候補になります。
もちろん対面の体験でも、道のりはもっと前(たとえばネット上)から始まっていて、そのあとも続きます。返品・交換、サポートへの問い合わせなどです。いずれの場合も、顧客の道のりを図に落とし、そこから、ピークや終わりの体験が起きる瞬間はどこかを見定めることが欠かせません。
どう聞くか——聞き方を間違えない
適切な方法で適切に聞くことは、顧客満足と体験を改善できる状態へ近づくうえで、きわめて重要な要素です。考慮すべき点をいくつか挙げます。
- 質問が多すぎると、たとえ答えるのが速く簡単でも、回答疲れを招きます。結果としてデータの信頼性に問題が出ます。
- 設問の見せ方が味気ないと回答率が下がります。意思決定に足るだけのデータが集まりません。
- 最初に連絡先を取ろうとすると、回答そのものが変わってしまうことがあります。完全に匿名であれば正直に答えたはずのことを、答えてくれなくなります。
関連性があり信頼できる声を集めるには、次の原則に沿ってください。
- 質問数を絞り、数秒で答えられて、答えたくなる見せ方にする
- 本当に重要な場所でだけ聞き、しかも自分たちが手を打てる設問にする
最後に、匿名であるならその旨を回答者に伝えることを、強くおすすめします。
HappyOrNot は、世界でもっとも引っかかりのない調査を提供することに取り組んでいます。この方針が開発計画を決めています。新しい構成要素をつくるときは、常に簡潔さを念頭に置いています。
何を聞くか——手を打てる材料を聞く
少ないほうがよく、単純なほうが複雑より良い。ここまででそう確認してきました。HappyOrNot の仕組みでは、ピークの瞬間を必ずしも特定する必要がありません。体験の終わりの瞬間に声を集めるだけで、事業に意味のある影響を与えるデータに基づいた判断ができる材料が得られます。手を打てるフィードバックを得る方法を見ていきます。
まず、どう感じたかを聞く。HappyOrNot では4つのスマイリーでこれを行います。ボタンをひと押しするだけ。引っかかりがなく、匿名で、それでいて「満足か、そうでないか」をさりげなく選んでもらう設計です。スマイリーは、押したくなるように、目を引くようにデザインされています。親しみやすく、答えたくなり、ひと触れで声が届く。

設問の例
次に、なぜそう感じたかを聞く。ここで忘れてはいけないのは、ピークと終わりの体験は良いものにも悪いものにもなりうる点です。したがって、どちらの感情についても流れを用意しておくことが欠かせません。良い体験で緑のスマイリーを押した顧客には、何が良かったのかを続けて聞きます。悪い体験で赤のスマイリーを押した顧客には、何を改善できるかを聞きます。この「理由」は、自社のサービスに即した2〜6個の選択肢にし、顧客は自分に最も当てはまるものを選びます。

追加質問の例
ピークの体験が分かるのは、この追加質問の段階です。たとえば HappyOrNot の小売の導入企業の多くは、最良の接客をするためのスタッフ教育をしています。来店時のあいさつ、困っていないかの声かけ、商品についての補足説明など。こうしたスタッフとの接点のどれもが、顧客にとってのピーク体験(良い方にも悪い方にも)になりえます。「理由」を続けて聞くことで、満足・不満の背後にある主な要因が分かります。
もっと話してもらえるようにする。とくにデジタルの調査では文字を打ち込むのが簡単なので、自由記述の欄を用意するのは有効です。追加質問の選択肢と最初の回答にひもづけて見られるようにすると、価値の高い材料が集まります。良い評価・悪い評価の理由を深く掘るための、質的な情報が手に入ります。

自由記述欄の例
前編の最後でも触れたとおり、「場面」に分けた顧客の道のりの図をつくるのは、気の重い作業に感じられるかもしれません。それでも、取り組む価値のある作業です。すぐにも、長い目で見ても、効果が返ってきます。いつ・どこで・どう顧客に確認すべきかが見えるようになり、より良い体験をつくり続けることにつながります。
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