「従業員満足度調査は年に1回実施しています」——多くの企業が口にするこの言葉の裏に、大きな課題が潜んでいます。年1回の調査では、現場で日々変化する従業員の声をとらえることができません。2026年、従業員体験(EX)の最前線では、「年1回のアンケート」から「毎日のリアルタイムフィードバック」へという潮流が加速しています。
その実践を先行して取り組んできた企業の一つが、英国最大のサラダ・総菜メーカーNatures Way Foodsです。同社がHappyOrNotのリアルタイムフィードバック機能を活用して従業員との対話を変革した取り組みは、製造業に限らず、あらゆる業種の人事・現場マネジメント担当者にとって示唆に富んでいます。
24時間・365日稼働の現場で「声を聞く」ことの難しさ
Natures Way Foodsは、英国のサラダ・調理済み食品分野でトップシェアを誇るメーカーです。4拠点にわたる工場で約1,300名が勤務し、多くの従業員が「パナマシフト」と呼ばれる12時間交代・年364日稼働の現場で働いています。事務系スタッフが通常の勤務時間で働く一方、現場スタッフとリーダーシップチームが直接顔を合わせる機会は自然と限られます。
この規模と勤務形態の中で、経営層が課題としたのは「シフトごとに従業員がどう感じているかをリアルタイムで把握すること」でした。年1回の全社アンケートは長期的な方向性を示す上で依然として有効ですが、日々の現場の温度感をつかむには不十分だったのです。
週次のリズムに組み込まれた「声かけ」の仕組み
HappyOrNotの導入後、同社は日々のフィードバック収集を業務の一部として定着させました。毎週月曜の朝9時30分、人事担当者が集まり、前週の結果と自由記述コメントを確認し、対応事項を共有管理表に記録します。自動生成された週次レポートは、役員・リーダー・人事チームそれぞれの受信箱に月曜の朝届きます。
その結果は、週次レポート、全社業績スコアカード、取締役会向けの定期報告、社内ニュース、そしてパソコンを持たない現場スタッフ向けのシフトブリーフィングを通じて社内全体に展開されます。
収集ポイントも工夫されています。4拠点の食堂入口と本社の主要入口にフィードバック端末を設置。QRコードを使えばより詳しいコメントも手軽に送れます。さらに、ライン管理者・従業員代表フォーラム・人事チーム・内部告発窓口・年次アンケートなど、5つの別チャネルと並立させることで、従業員が最もアクセスしやすい方法を選べるようにしています。
「聞いて終わり」ではなく「聞いて動く」文化へ
導入から2年で、201,000件のフィードバックが集まりました(週平均1,433件)。当初70%だった「満足」の回答率は、直近では77%まで向上しています。49の国籍が混在する職場でも、HappyOrNotのスマイルボタンという直感的なインターフェースにより、言語の壁を超えて誰もが参加できています。
蓄積された声は、素早い改善へとつながっています。全拠点の洗面所リニューアル、シフト勤務者の都合に合わせたクリスマスパーティー日程の変更、自社商品のサラダをわずか約200円で購入できる補助付き自動販売機の設置——いずれも現場の声がきっかけです。
そして、「あなたが言った、私たちが実行した」というメッセージを社内ニュースやイントラネットで定期的に発信することで、「声を出せば変わる」という実感が職場に根付いていきました。
プライバシーへの配慮も改善を続ける
同社はツールそのものも従業員の声に基づいて改善しています。端末でのフォローアップの問いかけ文は、「何が嬉しかった・悲しかった?」から「何がそう感じさせましたか?」というより中立的な表現に変更されました。また、特定の上司を名指しで称えたい場合や、直接フォローアップを希望する場合のために、連絡先を任意で記入できる画面も追加されました。
経営層が学んだこと——現場との距離を縮めるために
リアルタイムフィードバックは、1,300名のうち経営層と直接顔を合わせる機会の少ない従業員との対話を大きく変えました。スマイルをタップするたびに、従業員は自社の「深い関与計画(Deep Engagement Plan)」に沿った5つのカテゴリーから関連する項目を選べます。これにより、管理者はどの要因に次に注目すべきかを明確に把握できます。
同社のリーダーたちが同様の取り組みを検討する組織に伝えるアドバイスは、シンプルかつ力強いものです。
- 勇気を持って聞く:聞こえてくる声の中には、耳が痛い事実もあります。それでも向き合うことが、信頼の第一歩です
- 必ず行動する:聞くだけで何もしなければ、信頼は損なわれます
- 複数の手段で継続的に発信する:双方向のコミュニケーションを、さまざまなチャネルで絶やさず続けましょう
- 業績スコアカードに組み込む:従業員体験を「付け足し」ではなく、事業成果の中核に位置づけましょう
現場の声が事業を動かす時代へ
従業員が満足していなければ、生産性・品質・定着率はいずれ低下します。しかし、多くの企業ではその兆候が表面化してから初めて対策を講じます。Natures Way Foodsの事例が示すのは、毎日の小さな声に耳を傾け、素早く行動し、それを可視化し続けることで、組織文化そのものが変わるということです。
年1回の調査から脱却し、現場の声を事業の意思決定に組み込む——その第一歩を、私たちと一緒に踏み出しませんか。お問い合わせはこちら