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フィードバックが支店サービスを変える――ハーバーストーン信用組合の実践例

ハーバーストーン信用組合(Harborstone Credit Union)は、30拠点すべてにHappyOrNotのSmiley Touchを導入し、会員がその場で感じた声をリアルタイムに収集しています。この取り組みにより、優れたサービスの表彰、会員ロイヤルティの向上、そして日々の支店業務を数値で改善・可視化することに成功しました。

競争の激しい市場で「関係性」を武器にする

1955年に設立されたハーバーストーン信用組合は、ワシントン州西部を中心にオリンピアからカナダ国境のベリンガムまで30拠点を展開。会員数は12万5,000人超、スタッフは450名以上を擁します。繁忙時間帯には1拠点あたり500〜1,000人の来店があります。

競合他社が目と鼻の先に15社以上ひしめく市場で、ハーバーストーンが掲げる目標はシンプルです。「史上もっとも親しみやすい信用組合になる」。数十年単位で会員との関係を築くためには、数週間後に届くアンケート結果では遅すぎます。

NPSだけでは埋められなかった「空白」

同組合は数年前にNPS(ネット・プロモーター・スコア)を導入し、会員ロイヤルティを横断的に把握できるようになりました。しかしNPSには限界もありました。最高経験責任者(CXO)のティム・ホーフェル氏は「情報を受け取る頃にはすでに鮮度が落ちており、会員を助けるタイミングを逃してしまうことがある」と語ります。

理事会から「会員の声を直接、即座に聞きたい」という要望があり、NPSを置き換えるのではなく、リアルタイムの支店フィードバックで補完することが求められました。

30拠点でのリアルタイムフィードバック運用

全30拠点の出口付近にSmiley Touch™端末を設置。会員は窓口やバンカーとのやり取りを終えたあと、「今日の対応はいかがでしたか?」という問いに対し、4段階の表情ボタンをタップするだけで回答できます。ログイン不要、アプリ不要。誰でも数秒で完了する仕組みです。

小売部門副社長のボン・バレラ氏は「出口にある端末は、スタッフが常に会員サービスに意識を向けるための毎日のリマインダーになっています」と話します。

翌日から稼働できたシンプルな展開

30台の端末は届いた翌日には基本的に稼働状態になりました。設置・組み立ては最小限で、充電さえすればコンセント不要。2月1日に本稼働を開始し、継続的にデータ収集が行われています。

展開で最も重要だったのはハードウェアではなく「なぜ導入するのか」をスタッフに事前に丁寧に説明したことです。インセンティブ制度にフィードバックを組み込んだことで、抵抗感ではなく期待感を生み出しました。

予想を超えた声の量:月2,000件以上

最大の懸念は「十分な回答が集まるか」でした。結果は明快でした。毎月2,000件以上の回答が届き、支店別・時間帯別のパターンを把握できるほどのデータ量に達しています。バレラ氏は「どの時間帯にスタッフを厚く配置すべきかも見えてくる」と言います。

最大の発見は「ポジティブな声の多さ」

3か月半の運用で最も際立ったのは、苦情ではなく称賛の声でした。「担当者の名前を挙げて具体的なサービスへの感謝を伝えるコメントが非常に多い」とホーフェル氏は語ります。

同組合はこの声を表彰の場に活用しています。毎月の全体会議(約230名参加)で、満点スコアを獲得した拠点を紹介し、個人名が記されたコメントを同僚の前で読み上げます。優れたサービスを可視化することで、さらなる向上への好循環が生まれています。

NPSとリアルタイムフィードバックの使い分け

両ツールは目的が異なります。

  • NPS:コールセンター・デジタル・新規口座開設など全チャネルを横断した会員全体の傾向を把握
  • Smiley Touch:特定の取引直後の会員の感情を、拠点単位・当日中に把握

「組み合わせることで、会員がどう感じているかを多角的に描けるようになった」とホーフェル氏。リアルタイムデータはNPSの示す傾向を裏付け、業界上位5%の水準にあることも確認されています。

「聞く」こと自体がロイヤルティを高める

データとは別に、会員は「信用組合が自分の声を気にかけている」と感じることで安心感を得ます。端末の前で「○○さんの対応が素晴らしかった」とコメントを入力する行為は、会員自身が「なぜここで取引しているのか」を再確認するきっかけにもなっています。競合が多数存在する市場では、この静かな再確認が大きな意味を持ちます。

導入から学んだこと

同組合が実践から得た教訓は明快です。

  • ツールを導入することはスタート地点。価値は「そこから何をするか」にある
  • 問題を見つけるためだけでなく、優れたサービスを表彰するためにも活用する
  • 展開前にスタッフへの説明を徹底する
  • 業務変更時の会員反応を即座に確認するパルスチェックとして活用する

支店サービスにおける意義

支店での金融サービスは信頼で成り立っており、信頼は一つひとつのやり取りで積み上げられます。会員が「自分の声が届いている」と感じれば長期的な関係が続き、そうでなければ競合他社へ流れます。リアルタイムフィードバックは、会員の体験と経営が行動できる情報の間にあるギャップを埋める手段です。

問題が顧客離れに発展する前に把握し、優れたサービスが見落とされる前に称賛する――この循環こそが「もっとも親しみやすい信用組合」という目標を、掛け声ではなく実感できるものに変えています。

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